起業・経営お役立ち記事
『プレゼン』で重要なのは、論理より〇〇≪その②≫
【まずクイズです】
有名国立大学の学生が、人気のテーマパークで、傍若無人のふるまい。上半身裸で乗り物に乗るわ、立ち入ってはいけないところに立ち入るわ、触っちゃいけない展示物にも触っちゃう。さて、この大学生が所属する有名大学は、お詫びの記者会見を開かねばならないでしょうか?
ちなみに、この大学生は3年生。もう立派な成人でした!
さぁ、あなたなら、どうしますか?
“論理”で考えれば、「問題を起こしたのは二十歳を超えたもう大人で、事件は、大学には関係ない。よって、大学はそこまでする必要はない」と思う。
しかし、世間の“感情”はどうでしょうか?
「あれだけの有名国立大学なのに。この大学、何を教えているのかしら?」と思う。
大学で「テーマパークで暴れちゃダメですよ」なんてことは教えませんが、そう思っちゃうんですよね。実際、本当にこうした事態に遭遇した大学ではいち早く記者会見を行い、今で言う“炎上”を未然に防ぎました。
こうしたことからも伺えるように、何某かの情報を発信する際は、“論理”だけで考えるのではなく“感情”に配慮すべきで、さらにその“感情”の方が、“論理”よりも早く情報の受け手には響くと言うことを心すべきなのです。
ところで、前回のこのコラムの最後には、こう書きました。
「ビジネスコンテストでのプレゼンで必要なのは論理的に伝える術だけでなく、聴衆の〇〇に訴えることも重要なのです。その〇〇とは?それは、次回、明らかにいたしましょう!」と。
その〇〇に、何が入るか?もうご理解いただけましたよね。
そうです“感情”です。
ビジネスコンテストのプレゼン時間は、決して長くはありません。その短い時間に聴衆を味方につけるためには、まず感情に訴えることに努めること。
「そう!そう!」と共感を得られた際には高得点が得られますが、反対に感情を損なった場合には…あぁ、残念!!
【審査員は何故怒ったか?】
「なんやねん!今のプレゼン!!」
隣の審査員は、頭から湯気を出さんばかりに怒っていました。
ビジネスコンテストの予選会でのこと。ボクも、その審査員の末席に座っていたんですが、最初は、何故そんなに怒っているのかは分かりませんでした。しかし、彼はこう続けたのです。
「プレゼンの冒頭、こう切り出した。『皆さんは、facebookはご存知ですか?』と。そんなもん、当然、知ってるがな!」
なるほど、彼は、そこに怒っていたのか。言われてみれば、そうでした。多分、彼は冒頭で怒りの感情を抱いたことから、その後のプレゼンも、きっとプリプリとした感情で聞いていたに違いありません。それでは、高得点は望めません。
皆さんは、このエピソードをどうお感じになられますか?「審査員の方が大人氣ない」と思われますか?確かにそうかもしれません。しかし、今の世の中、様々な価値観を持った方々がおられる。もちろん、審査員もそうです。たった一言でプレゼンが台無しになるケースはあるのです。
例えば、ボクの場合は、この一言が気になったなぁ。障がい者に関わる問題を解決しようと言うアイデアを持っておられた起業家が、こう言いました。
「私は、障害を持つ方々のお役に立ちたいのです!」と。
この短い文章の中の、どこが気になったのか?それは、障害を“持つ”と言う表現。障がい者の方々は、障害を、誰も持ちたくて持っているわけじゃない。こうした場合は、障害の“ある”方々と表現する。そんなことも知らないのか、とボクの感情は、このたった一言でささくれる。あぁ、もったいない。
あるいは、ジェンダー問題に敏感な審査員であれば、「これは、若い女の子にウケる商品です」と言ったような言葉に「ウン?」と反応するかと思います。「男らしい」「女らしい」と言うような言葉も要注意です。世間には、様々な価値観を持った方々がおられる。そして、審査員にも。
もう一度書きます。
たった一言でプレゼンが台無しになるケースは、あるのです。
【メラビアンの法則】
これは、「好意・反感などの感情や態度を表すコミュニケーション」において、話者が「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つの要素について、それぞれ矛盾した内容を発している場合、言語情報が占める割合は7 %、声のトーンや口調など聴覚情報は38 %、ボディーランゲージなど視覚情報は55 %であるという法則です。
言語情報は、やはり“論理”が重要、しかし、聴覚情報や視覚情報は“感情”を刺激するもの。この法則は、往々にして、人は“論理”よりも“感情”を重要視すると言っているのです。
となると、プレゼンの際には、“感情”に訴える視覚情報にも気を配らねばなりません。例えば、どんな格好で登壇すべきかにも知恵を絞りましょう。いわゆる“勝負服”をご準備して下さい。何も高額な衣装を用意して下さい、と言うことではありません。あなたの人柄や、やってこられた経験を雄弁に語る衣装を用意して下さいね。
しかし、何より重要な視覚情報は、あなたの・・・「笑顔」です。
「笑顔」の練習、それも良きプレゼンを披露するための不可欠な要素だと思っています。さぁ、手鏡を用意して、早速やってみましょう。
ハイ!チーズ!(つづく)
- 公開日
- 2022年2月8日
- 執筆者
グッドニュース情報発信塾 大谷 邦郎氏
1984年:株式会社毎日放送入社。
40歳代半ばまでは大半を「記者」として過ごす。
その後、「ラジオ報道部長」、「宣伝部長」、「人事局キャリア推進部長」を歴任。
取材する側、される側をともに経験したことにより、情報発信に関する独自のノウハウを蓄積することに。また、人事局キャリア推進部においては、様々な研修を手掛けそのスキルを磨くことになる。
2016年10月末、毎日放送を早期退職・独立して現在に至る
・追手門学院大学「笑学研究所」客員研究員
・NPO法人DDAC(発達障害をもつ大人の会)監事
・大阪産業創造館経営相談室 登録専門家 経営相談室 経営サポーター