起業・経営お役立ち記事
「その事業、知ってもらってなんぼでっせ!」~其の③人の心を動かす発信力~
【人を動かすためには・・・】
このコラムの中で、二度にわたって「情報発信の必要性」を訴えてきました。
しかし、情報発信をしたその“先”のことも、しっかりイメージしておいて下さい。
「集客のため」なのか、「顧客獲得のため」なのか、「ブランドアップのため」なのか、「人材獲得のため」なのか。明確な目的を持って情報発信して下さい。
とは言え、いずれも、最終的に人を「動かしたい」と言う思いがそこにあるわけですよね。
「人に集まってもらう」「人に自社製製品を買ってもらう」「人に信頼してもらう」「人に仲間に加わってもらう」など、対象は、常に「人」。
そこで、その際、知っておいていただきたい重要な法則があります。
「人を動かす際の三要素」「説得の三要素」と呼ばれるものです。
それは…「ロゴス」「パトス」「エトス」です。
って、何のこっちゃ、ですよね(汗)。
でも、これは、あのアリストテレスが提唱したと言われる紀元前から伝えられる真理なんです。
順番に説明しましょう。「ロゴス」とは「論理」のこと。
皆さんが、プレゼンや事業の説明をする際に、やはり話が論理的でないと、観客は途中で席を立って行ってしまいますよね。とは言うものの、最近の若き経営者の方々、例えばITベンチャーの社長などは実に論理的、お話しも上手いなぁと感心します。一方で、苦手と言う方にはちょっとしたアドバイスを。それは、小学生時代に戻って、これらの要素を抜けなく網羅しましょう。それは「5W1H」です。小学生時代に習いましたよね。
「いつ」「だれが」「どこで」「なにを」「なぜ」「どのように」の6要素。まぁ、ビジネスの世界では、もう一つ「いくらで」の「How much」を加えて7要素を漏れなく盛り込めば、ある程度論理的に組み立てることが出来るかと。
但し、「なにを」は意外と難しい。
自分の事業は「何か」、「何を扱っているのか?」一言で説明出来るように何度も何度も推敲してみて下さい。その一言が見つかれば、あなたの発信する情報の届く範囲は大いに広がり、あなたの発信する情報の届くスピードは飛躍的に加速するに違いありません。
【パッションを語れ!】
そして、「5W1H/2H」で、もう一つ重要なのは「なぜ」!
なぜ、あなたは今の事業を手掛けているのですか?ここも大いに深掘りして下さい。「いやぁ、突然、親父に後を継げと言われまして」と頭を掻いたとしても、誰もあなたの事業に関心を持ってくれません。「世の中を変えたい」「〇〇で困っている人を助けたい」「社会貢献がしたい!」と大いにあなたのパッションを語って下さい。
そう、三要素の二つ目の「パトス」とは、このパッションです。
相手の感情を揺さぶる発信をして下さい。ボクは思います。時に「ロゴス」より、この「パトス」の方が重要だと。特に相手が「世間」のように不特定多数の場合は、間違いなく「論理」より「感情」の方が重要です。ですから、新製品や新サービスのプレスリリースには必ず「新製品、新サービス開発への思い」を記載してもらうよう、ボクはアドバイスしています。あなたの思いを語って下さい。そこで大いに自らのパッションを爆発させて下さい。
【意外と必要な、可愛げ・・・】
「人を動かす際の三要素」「説得の三要素」、一つ目が「ロゴス」で論理、二つ目が「パトス」で感情でした。
では最後の「エトス」とは?これは「徳」と訳すればピッタリくるかと。
「人徳」だとか「社徳」。あの人が言うのだから、あの会社がやることなのだから、間違いない…となれば、しめたものですが、なかなか、その“域”に到達するには難しい。これは日々「徳」を積むしか仕方ないかと思うのですが、その人徳の中の一つの要素として、あるいは経営者に求められる一つの資質としてあるのが「可愛げ」だと、ボクは思っています。
カリスマ経営者の皆さんには、この「可愛げ」がある。じゃぁ、その「可愛げとは何ぞや?」と問われると明確に回答出来ないので申し訳ないのですが、「無邪気さ」だったり「一生懸命さ」だったり「諦めの悪さ」だったり、反対に「諦めの良さ」だったり、それこそ「笑顔の可愛さ」だったりと、多分、正解などない。
しかし、これまたプレスリリースや、自社ホームページなどには、必ず「社長のプロフィール」も記載しておいて下さいと、皆さんにはお願いしています。
何故かって?それは、間違いなくベンチャー企業や若き企業の場合、最大の“看板”は、社長なのですから。その看板は大いに活用しましょう!もちろん写真も一緒に。出来れば「可愛げ」のある笑顔の写真をね!
【最後に】
さぁ、そろそろ、このコラムのページを閉じようと思いますが、最後に申し上げたいのが、「情報発信をする際、あなたは何処を見ていますか?」と言うことです。間もなく発売される新商品がある。あなたは、その商品のことを一生懸命見ていることでしょう。しかし、一旦、その視線を外して、「世間」を見てみましょう。その商品を世間は待ち望んでいますか?タイミングは今で間違いないですか?では、今度は「過去」に目をやりましょう。色々な失敗もありましたよね。しかし、そこから数々のことを学びましたよね。
では、今度は「未来」に目をやりましょう。そこには、どんな「夢」が広がっていますか?あなたが見ている未来を教えて下さい。
じゃぁ、今度は視点をあなたの「中」に入れてみましょう。あなたは、どんな「思い」で、この商品を開発したのですか?あれだけ失敗もしたのに、なぜ諦めなかったのですか?そもそも、あなたは、どんな人なのですか?
と言うように情報発信のネタはいくつもあるのです。
様々な角度から情報発信の内容をブラッシュアップしていって下さい。情報発信は、あなたの会社にとって重要な戦略なのですから。
さぁ、早速、何から始めましょうか!? (了)
- 公開日
- 2021年9月14日(火)
- 執筆者
グッドニュース情報発信塾 大谷 邦郎氏
1984年:株式会社毎日放送入社。
40歳代半ばまでは大半を「記者」として過ごす。
その後、「ラジオ報道部長」、「宣伝部長」、「人事局キャリア推進部長」を歴任。
取材する側、される側をともに経験したことにより、情報発信に関する独自のノウハウを蓄積することに。また、人事局キャリア推進部においては、様々な研修を手掛けそのスキルを磨くことになる。
2016年10月末、毎日放送を早期退職・独立して現在に至る
・追手門学院大学「笑学研究所」客員研究員
・NPO法人DDAC(発達障害をもつ大人の会)監事
・大阪産業創造館経営相談室 登録専門家 経営相談室 経営サポーター