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売上は熱狂的なファンが支えている!『経営安定化のためのファンコミュニケーションの作り方』

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みなさん、こんにちは。大阪産業創造館の経営相談室でスタッフコンサルタントとして日々皆様の相談にのらせていただいています大西です。

「SNSを見ていると「リアタイ(※)しようぜ」というハッシュタグをXで見かけます。リアルタイム視聴のことのようです。テレビドラマもアニメも視聴の仕方が多様化する中で、SNS上のコミュニケーション、ライブ感やリアルタイム性の価値が見直され、それぞれの作品のファンにとっては、リアルタイムで観ることが楽しみの一つになっています。また、リアタイは、ネタバレなしに楽しみたいといった思いもあるようです。
※リアタイ:リアルタイム視聴のことで、SNSのライブ配信などで用いられます。この逆で、保存して自分の好きなタイミングで視聴することをタイムシフトと言われています。

 

【ファンの存在とその影響力】

SNSやインターネットの普及により個人が情報を発信する社会において、熱狂的なファンは、自ら情報を発信してくれるありがたい存在です。特に、SNSの世界では趣味趣向が似ている方がつながっていることが多く、情報の拡散性も高いので、マーケティングでは注目されています。 こうしたファンとのコミュニケーションにSNSを活用する企業も多く、いわゆる「中の人」も注目されています。 例えば、ガリガリ君でおなじみの赤木乳業株式会社の公式アカウントは現在、22万人以上(2023/05/25)のフォロワーがいます。内容は、新商品情報やキャンペーンといったものですが、なんとなくフォローしている方も多いのではないでしょうか? フォロワーによる拡散効果はとても高く、いわゆる“バズった”商品の中には、需要予測を超えて、品切れ状態になってしまったものも多数あります。先日も「あたりつき やめるのを やめました」と新型コロナウイルス感染症の影響でやめる計画があった当たり棒を、続けるニュースがありX(旧:Twitter)上でも話題になっていました。多くのファンが好意的なコメントを寄せ広くこのニュースをしっていただく機会になったと思います。 

 

【売上の80%は20%の顧客】

経済学の用語には、パレートの法則(ばらつきの法則)といって、売上の80%は20%の顧客で構成されると言われるものがありますが、一部が全体に大きな影響を及ぼしていることを意味しています。
アメリカン航空が、最初に始めたマイレージプログラムは、パレートの法則に基づいたものといわれています。当時のアメリカン航空は厳しい経営環境にありましたが、年に13回以上利用している顧客はほんのごくわずかであることに気づき、利用回数の多い顧客に無料の航空券を配ることで、利用促進につなげ優良顧客の囲い込みに成功しました。また、いろんな航空会社を利用してたユーザーもアメリカン航空を集中的に利用するようになったようです。その後、他の航空会社が相次いで追随し優位性はすぐに失われてしまいましたが、広告効果だけでなく、効率的な企業運営のためにも優良顧客(ファン)は大事な存在であることがわかる事例です。

 

【ファンづくりのポイント】

長期的な経営の安定化のために、ファンを増やすためにはどうやったらいいか、悩む経営者の方も多くいらっしゃいます。その大半が、自社商品は品質もよく、価格も値ごろ感があるのに、ファンが増えないと悩まれています。
ファンが思うように増えない原因の一つとして、顧客のニーズがしっかり把握できおらず、うまくファンとコミュニケーションが取れていないケースが考えられます。
以下、SNSなどを使ったコミュニケーションによるファン化についてご紹介いたします。試行錯誤による繰り返しが必要ですがぜひ試してみてください。

(1)価値観の検討
自社が大切にしている価値観を点検し、自社がどのような価値を提供していくか検討しましょう。自社がどんな価値観を大切にしているか明確に伝えることで、顧客から共感を得ることができます。エシカルや環境などを商品以外の価値観を情報発信することで顧客からの支持を得ている企業も多くあります。

(2)顧客イメージの想定
顧客の顔を思い浮かべながらファンになってくれる顧客を想定し、その顧客がどのようなことに関心をもっているのかを考えてみましょう。

(3)伝える方法を点検する
顧客をよく理解し、文書のボリューム、写真の撮り方、ツール(SNS)の選定、発信する時間帯などコンタクト・ポイントを確認しましょう。特に、発信するための投稿のトーン(キャラクター)、絵文字の活用、文章の柔らかさの程度を決めておくのも継続的にコミュニケーションをとっていくためには重要です。

 

【多様なコンタクト・ポイントでより広くファンを囲い込む

SNSを使う場合は、ファンがどのチャネルを使っているか理解した上で、自社の価値観に沿った情報を投稿します。最近ではファンになってくれる顧客が同じチャネル(メディア)に集中しているとは限らないので、X(旧:Twitter)だけに限定する、とかではなく、複数のコンタクト・ポイントがあると良いと言われています。 匿名性を好みX(旧:Twitter)を利用している女性、仕事を兼ねてfacebookを利用している女性も異なるSNSツールを日常的に使ってはいるものの、「料理」「スイーツ」「ファッション」に関心があってフォローしていることが考えられるからです。共通の趣味をもっていることが考えられるからです。

 

【ファンを囲い込むメリット】

コロナのような不測の事態があっても、長年気にかけてくれるファンによって支えられたお店も中にはあるようですが、ファンを大切にすることで得らえれるメリットは多くあります。自社商品が、どのような対象顧客に対して、どのような価値を提供しているかがわかるだけでなく、ファンは商品の良さを伝えてくれる自ら発信してくれる応援者になってくれるからです。

自社の商品やサービスについて、当事者だけでは見えていたいことが多いので、最寄りの支援機関にある経営相談室などを活用して、自社のファンづくりを一緒に考えてみませんか?

皆さんのファンづくりを応援しています。

 

公開日
2021年6月4日
執筆者

大西 森(おおにし しげる)氏

大阪産業創造館 経営相談室 スタッフコンサルタント
中小企業診断士