大阪の起業家
知らない番号でも安心!着信時にメッセージが表示される安心電話アプリ『nafuda』
株式会社nafuda 代表取締役
石崎 慎一 氏
詐欺・迷惑電話が増え「知らない電話番号からの着信はとらない」のが当たり前になってきています。しかし一方で、電話はいまなお社会生活に不可欠な手段であり、電話を取らなかったたことによる不都合の実体験・実感から『nafuda』アプリの開発に着手しました。電話を受ける側は、nafudaアプリを無料ダウンロードします。電話をかける側(主に企業)は、表示させたいお名前とメッセージを登録することで、着信時に表示させることができます。これにより、知らない番号からの着信でも、安心して電話が取れるようになり、企業においては、電話の応答率向上に繋がります。nafudaは、電話という使い慣れた、誰にも優しい通信手段を安心して利用できる環境を再生し、豊かな顧客体験、誰もが取り残されない社会を実現します。
- 起業家紹介
石崎 慎一(いしざき しんいち) 株式会社nafuda 代表取締役
大学在学中から元新聞記者の父の事務所で、企業出版物の制作、マーケティングの仕事に携わってきました。そんな中、たまたま武蔵野市で行われたNTTのINS実験の調査報告に関わったのをきっかけに、ネット前夜の情報化関連の調査、実験サーバーの構築の受託業務を経て、1999年、オープンソースを用いたアプリケーションフレームワークを開発。これを使った専用サーバーシステムを大手、中堅企業、大学、公益法人等へ提供してきましたが、営業戦略がともなわず苦戦。この失敗体験が私自身の起業家としての視野を広げてくれたとも思います。その後は大手企業、中小メーカーのコンサルティング(経営管理、IT、マーケティング)、社員研修(マーケティング)、中小企業向DXのフレームワークの開発に取り組んできました。
そして令和元年からnafudaの挑戦を始めました。何より30代50代60代と、世代もキャリアも違う3人が、対等なパートナーとしてチームを組んでいることがnafudaの面白さ、強みだと思います。
- 起業のきっかけ
本事業の創業メンバーとなる3名で中小企業向DXフレームワーク販売のミーティングを行っていた時、メンバーの山根氏が
「知らない電話は取らない。名札が出れば良いのにね。」
とつぶやいたことが本事業の出発点です。ちょうどその頃、何者かがカード会社のサーバーに侵入し、勝手に私のカードの家族カードを発行するという事件がありました。しかし私も知らない番号からの着信は「ほっとく」主義だったので、何度かあったカード会社からの着信を1週間以上放置してしまいました。この時の「カード会社からのメールは、フィッシングメールの不安があってなかなか開いてもらえない。電話連絡にもスムースに応答してもらえない…」という担当者のお話しと、『知らない相手からの着信はとらない。しかし「取らないことが不都合な電話」は少なくない』というユーザーとしての実体験・実感が本事業に挑戦する動機を後押ししました。
一方で、様々な商品・サービスの利用方法が複雑化し、サポートの必要性が増していることを日々実感します。私自身、システム化・ネットワーク化が進む新商品・サービスに向き合うと、「直接電話でサポートします..」という提案を魅力的に感じる場面が少なくなく、電話を安心して使えるという当たり前の環境を取り戻すことが、複雑化する商品・サービスを人々が自由に使いこなすために欠かせない!という思いを強くしています。
- 今後の思い
電話は時代遅れの「オワコン」ではないと思います。新たなデバイスが苦手な高齢者等、IT弱者にとってはもちろんですが、企業にとっても、お客様との関係づくり、カスタマージャーニーのタッチポイントとして、電話は未だかけがえのない重要なコミュニケーション手段です。むしろ私たちが直面しているのは、ネットを利用したデジタルコミュニケーションの拡大で一見豊かになったように見える「人々と社会との関係そのものの危機」です。いま我が国ではDX化が急務といわれていますが、DX化の目指すところも顧客体験のリモデル。電話利用の再生はその重要な鍵と考えています。
私は1990年代の前半、インターネットの登場でそれまで一部のメディアしかできなかった情報発信が人々のものになる!とワクワクした覚えがあります。
それから30年。SNSの隆盛を目にすると、本当にそうした時代になった…という感慨と同時に、一方で「ネット情報は信用ならない」ことも痛感しています。
真に「誰もが取り残されない持続可能な社会」を築くため、私たちはオープンネットワークに信頼を取り戻す取り組みの中で、安心出来る電話の利用環境の再生を進めてまいります。
- 支援機関名