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起業のアイデアは“発想”の転換から!アイデアを生み出すブレスト法

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【身近なモノに新規アイデアあり!!!】

 

世の中には様々な商品がありますが、ヒット商品になるのはそのうちのごく一部です。

身近なものではiPhoneに代表されるスマートフォンのように革新的で新規性の高い商品もありますし、自動運転や空飛ぶ自動車などのようにヒットの予感がするものもあります。

しかしヒット商品のすべてが、今まで世の中に無かった製品やサービスというわけではありません。

新規性といっても、唯一無二の商材というだけではなく、同じ商材であっても「生産方法」「販売方法」「機能性」「デザイン性」「使い方」など目の付け所が良ければ、莫大な研究開発費を投入せずとも、少しの工夫でヒット商品が生まれることもあります。

 

例えばこのような事例があります。

1つは、食パンを縦ではなく横に薄くスライスして、販売した事例です。
長方形の薄いパンを、手巻き寿司の海苔のように野菜やチキンなどの具材を巻いて食べるという新たな食べ方を提案したものでした。

他にも、老舗の和菓子店がようかんをスライスチーズのように薄くスライスして販売したところ、小倉トーストに最適だと新たな顧客層の開拓につながったそうです。その新商品は、定番のようかんの1,000倍以上の売上になり新たな収益源として貢献しています。

更に、コロナ禍が影響してヒット商品となった、ノートのサイズを半分にした「キャンパスノート ハーフサイズ」があります。
看板商品のキャンパスノートを半分のサイズにしただけでなぜ大ヒットしたのでしょうか。
コロナ禍ではリモート授業やリモート会議が増えましたが、パソコンの前に普通のノートを置くと、机からはみ出してしまい、書きづらいこともあったと思います。そこでサイズを半分にすれば、隙間のスペースに置けてメモが取りやすいと閃いたそうです。学校などの小さな机でも使いやすく、発売から半年で累計出荷数10万冊を突破する大ヒットになったそうです。

・「パンで巻く」という新たな食べ方を提案した横にスライスした食パン。
・ようかんは分厚く切る和菓子業界の常識を覆したスライスようかん。
・ライフスタイルの変化に対応した、ハーフサイズのキャンパスノート。

3つの事例に共通しているのは、常識にとらわれず少しの工夫で新たな市場を開拓したことです。

 

 

【オズボーンのチェックリスト】

コロナ禍の影響で、収益の柱を複数確保することの重要性を痛感した事業者も多いことと思います。

そんな時は、全く新しい商材を開発する前に、まずは既存の商材に新たな価値を付け加えることを考えてみてください。

とはいえ、それほど簡単にアイデアが浮かぶわけでもありません。

そこで活用できるのが、ブレストによってアイデアを生み出すための9つの問いである、オズボーンのチェックリストがあります。
オズボーンのチェックリストとは、有名なブレインストーミングの考案者としても知られている、アレックス・F・オズボーン氏によって考案されたアイデア捻出方法です。
9つの問いに対して、既存の商材に新たな価値を付け加えるための気づきを得ることができます。
気付きを得るための、 9つの問いは、以下の通りです。

【転用】 他の使い道は?(既存の商材を違う市場へ投入できないかなど)

【応用】 他に似たものは?(違う業界の成功事例をヒントにするなど)

【変更】 変えてみたら?(意味・色・動き、音、匂い、型など)

【拡大】 大きくしたら?(より大きく、強く、高く、長く、厚くなど)

【縮小】 小さくしたら?(より小さく、よりシンプルに、軽く、低く、短くなど)

【代用】 他に代用は?(他の素材やアプローチなど)

【置換】 入れ替えてみたら?(要素、成分、部品、パターン、配列、順番など)

【逆転】 逆にしたら?(後ろむき、上下、左右、立場を変えたらなど)

【結合】 組み合わせたら?(他のものと合体、混ぜるなど)

今でこそ子育てママにはあたりまえの電動アシスト自転車も、最初は高齢者をターゲットにしていたものの、思ったように売れず、子育てママに向けた「子ども乗せ」の方向に大きく路線変更したことでヒットにつながったそうです。

まさに既存の商材を違う市場に投入して成功した【転用】の事例です。

更に、ポケットサイズで、手も汚れず、パクッと食べられる一口タイプのチョコからヒントを得た「甘栗むいちゃいました」や、コンビニエンスストアで販売されているサラダチキンバーからヒントを得た「TOFU BAR(豆腐バー)」などは【応用】の事例です。

 

他にも

【変更】:汚れが見える黒い綿棒や、自立させて収納できる四角いフライパン

【拡大】:子供の時に夢見たバケツプリンや、テーマパークの年間パス

【縮小】:機能を縮小したシンプル携帯や、アルコール度数を低くした微アルコール飲料

【代用】:素材を鉄ではなくセラミックで代用した刃物や、肉そっくりな大豆ミート

【置換】:お店側が揚げるのが当たり前だった役割を入れ替えた自分で揚げる串カツ屋さん

【逆転】:消えないことが当たり前を、逆転の発想で開発した消せるボールペン

【結合】:ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車や、カメラ付き携帯電話

これらも発想の転換から生まれたアイデア商材です。

 

起業のアイデアに悩むときは、まずは自分の強みを活かしてできることの中から、やりたいことの重なる領域を見つけてください。その上で、これらの質問から、発想を転換して新たなアイデアのヒントを探すことで、より強いビジネスモデルが見つかるかもしれません。

公開日
2022年8月22日
執筆者

岡島 卓也(おかじま たくや)氏

大阪産業創造館 経営相談室 スタッフコンサルタント
中小企業診断士