起業・経営お役立ち記事
『その事業、知ってもらってなんぼでっせ!』~其の②時を読み・打つべし!~
【プレスリリースって何だ!?】
「『新商品を出したのなら、プレスリリースを出しなさい!』とコンサルの先生に言われたので、相談しに来ました。ところで…、そのプレスリリースって何ですか?」と言う方が意外と多い。なので、「プレスリリースって何だ!?」と首を傾げている方も安心して下さい。ただ、絶対知っておくべきワードかと。特に、中小企業や個人事業主の方であれば、なおさらです。それは、何故か?・・・とその答えをご紹介する前に、プレスリリースについて一言で説明すると、こんな感じになろうかと。
「会社や組織内のニュースを、マスコミに対して発信する最初のアクションです。宣伝ではなく、記事として事業をアピールできる絶好の機会なので、積極的に活用しましょう!」
さぁ、何故、中小企業や個人事業主の方に知っておいていただきたいワードか、これでご理解いただけましたよね。注目していただきたいのは「宣伝ではなく、記事として事業をアピールできる」と点です。そう。「宣伝」に関しては資金力のある大企業には、到底太刀打ちできないけれど、費用をかけないで済むプレスリリースであれば(まぁ、切手代だとか、封筒代、ファックス代、あるいは配信代行代などは必要になるかも知れませんが)、上手くアピールすることさえ出来れば、記事として取り上げてもらえるわけですから、やらない手はない!
さぁ皆さんも、早速チャレンジしてみましょう。
【プレスリリースの種類はいろいろ】
プレスリリースといっても主に3つの方法があります。
・配信代行業者に依頼して、メールで送信する
・紙に書いた原稿をFAXで送信する
・紙に書いた原稿を郵送する
いずれもTV局の報道局や番組担当部署宛、新聞のコーナー部署宛にして送ります。また、メールで送信した場合は、ネット記事などに向いており、取材を希望するならFAXや郵送ですが、郵送の方が、FAXよりは効果が高まるようです。FAXだと、毎日たくさんの企業からもプレスリリースが送られてきていますので、埋もれてしまう可能性があるからです。いつの時代になっても、恋文は効果があるのかも!?
【重要なのはタイミング!】
プレスリリースの「書き方」については、今、ネットで検索していただければ数多く出てきます。そこで、その「書き方」については、ネットにお任せしますが、残念ながら、ただ「書いて」、ただ「送って」も、メディアが取り上げてくれることはありません。やはり、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
中でも、最も注意していただきたいのが、「タイミング」です。まず、冒頭の『 』内を、今一度、読み返してみて下さい。
『新商品を出したのなら、プレスリリースを出しなさい!』。
確かにこうアドバイスを受けて相談に来られる企業が多いのですが、実は、これはタイミングを失した典型的なケースなのです。何故か?それは、ここ!『新商品を出した(・・・)』と言う点です。出したのであれば、それは“過去”のこと。メディアが興味を持つのは「新しい」こと、「NEW」なこと。メディアは、そうした「NEW」なことを複数集めて「NEWS」として紹介していくのですから。
この場合は、時を遡り、もっと早い段階で「新商品をいついつに出します」と言った未来形でリリースを出さねばならなかったのです。また、タイミングとは、そうしたことだけを言うのではありません。世の中の空気を読んで、そもそも今がリリースを出すタイミングなのか否かを見極めなければなりません。例えば、五輪のニュースが溢れるタイミングで、五輪以外のニュースをどれだけ取り上げてくれるでしょうか?また、秋に、新商品の発表を考えていると言う企業の広報担当者であれば、衆議院選挙がいつになりそうか、今からアンテナを立て、その頃は避けたほうが良いと言う判断をしなければならないのです。実は、そこが広報担当者の腕の見せ所だと心しましょう!
【しかし、そもそも・・・】
しかし、そもそも、今、貴方が出そうとしているネタは「ニュース」ですか?
そこは、真剣に考えて下さい。もう一度書きますが「ニュース」は「NEWS」。
“新しく”なければなりません。貴方が出そうとしているそのネタは、新しいことですか?「新しいと思う」とお答えになった方に、さらにお聞きしますが、その“新しさ”は、さて何なんでしょうか?そこを明確にして下さい。そして、かつては××だったけれど、この新商品のお陰で〇〇になったと、どんな社会的貢献を、その新商品がもたらすかを語って下さい。さらに、何故、過去は、それが出来なくて、何故、今、それが出来るようになったのか、そこも説明して下さい。それが、多分、そのネタのキーのはずです。いかがですか?プレスリリースに、何をどう書けばいいのか、少しはご理解いただけたでしょうか。
「ちょっとハードルが高いかな?」と思った貴方も諦めないで下さい。プレスリリースに挑戦する価値は、大いにあります。そこは宝くじに似ているかなぁ。宝くじは、買わないと当たりません。プレスリリースも、出さないことには記事になりません。明日、貴方の会社の新事業が、新聞やテレビニュースにバ~ン!と取り上げられると言うことも決して夢ではないのです。さぁ、早速チェレンジしてみましょう!
【新商品を出しちゃったよ、と言う貴方に!】
「プレスリリースを出す前に、新商品を出しちゃったよ!どうすればいいの?」と、このコラムを読んで焦られた方もおられるかも。でも、大丈夫です。それこそ、タイミングを見計らって「体験会」や「取材会」を開催すれば良いのです。と言うように、プレスリリースは、ただ書けば良い、ただ出せば良いと言うものではなく、プレスリリースは「企てるもの」だと、ご理解下さい。プレスリリースは、広報戦略の中の大きな武器です。大いに作戦を練って、大いに活用してみて下さい。(つづく)
- 公開日
- 2021年8月6日(金)
- 執筆者
グッドニュース情報発信塾 大谷 邦郎氏
1984年:株式会社毎日放送入社。
40歳代半ばまでは大半を「記者」として過ごす。
その後、「ラジオ報道部長」、「宣伝部長」、「人事局キャリア推進部長」を歴任。
取材する側、される側をともに経験したことにより、情報発信に関する独自のノウハウを蓄積することに。また、人事局キャリア推進部においては、様々な研修を手掛けそのスキルを磨くことになる。
2016年10月末、毎日放送を早期退職・独立して現在に至る
・追手門学院大学「笑学研究所」客員研究員
・NPO法人DDAC(発達障害をもつ大人の会)監事
・大阪産業創造館経営相談室 登録専門家 経営相談室 経営サポーター